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春の就職説明会レポート

2019年6月6日

 2019年度 春の就職説明会が、185名のご父母のご参加のもと開催されました。

 まず開始冒頭、学部長が登壇時に「コケる」というハプニング?(私は、これは学部長の計算され尽くした演出で、本当は「つかみはOK!」とおっしゃりたかったのではないかと勝手に想像しております。)から始まり、学部長からは、「就職活動が大きく変化していく途上であるということ日々実感している。それは社会の変化が大きくなり、学部教育に求められるもの、各学生が備えておくべきものが少しずつ全体としては急速に変化している結果である。今回の説明会を有意義な学びの場としていただきたい。」というご挨拶がありました。

 続いて新任の父母会長の「何度でも希望の会場に参加できる父母会で、大学生活に関する疑問や不安を解消していただきたい。」というご挨拶の後、講演・トークセッションへと進んでいきました。この詳細については、後日発行される「父母会報」に掲載されますが、先に概要をレポートいたします。

 

講演:「就職市場の実態と就職活動NGマナー」 (株)マイナビ 藤原 副編集長

◎2019年卒の学生の有効求人倍率は、全体としては1.83と“超”売り手市場が続いているが、従業員規模別でみてみると、1,000人以上の大手企業については、0.76と引き続き厳しく狭い門となっている。

◎男女別にみる学生の企業志向は、男性は大手企業志向、女性はやりがい志向。志望職種は、男性は営業部門に集中しているが、女性は、一般職もあり、管理、営業、商品企画などより多様。企業選択のポイントとしては、男性が安定性、女性は福利厚生の良さを重視。労働力確保のため、男女とも長く働ける環境づくりに取り組む企業が増えてきている。

◎企業側は中途採用にも目を向けつつある。企業は量より質を重視した採用を行うので、学生側もしっかりした準備をおこなった上で、就職活動に臨む必要がある。

◎経団連主導の就職活動ルールが廃止され、選考の変化と複雑化が今後も続く。

◎学生側では、Web上の企業情報が増え、企業側では応募が増えた結果、採用をいかに効率的に行うかが求められ、IOT、ビッグデータ、AIの活用、自宅Web面接を取り入れる企業もある。

◎就職活動の実態は、3年生の3月中に面接まで終了する企業が多く、マイナビ調査では、4月末に約4割が内定し、選考期間の超短期化が進んでいる。このため、3月より前にどれだけ企業情報等を集められるかが重要。

◎企業側も3年生より前に学生に自社のことを知ってもらう機会をつくるため、インターンシップがたいへん増え、マイナビ調査では、参加する学生は約8割と高くなっている。

◎インターンに参加する学生の内々定率は2割高いが、インターンから本選考へ進む者は2割しかおらず、内定が近くなるわけではないので、学生側もこれを意識して目的意識を持って参加してほしい。

◎自分に関する情報(自己分析)にかける時間が大切で、父母の立場からも支援に関わってほしい。

◎進路に関する情報収集についても、父母は、業界の話、やりがい、おもしろさなどをもしっかりと伝え、本人の気付きにつなげてほしい。

◎自分の言葉で自己主張できるよう、普段からトレーニングを進めてほしい。

◎経団連ルールの廃止により、通年採用の議論が巻き起こっているが、現時点の情報では、3月、6月の一括採用の就職活動の流れはそのまま残り、就職活動の複線化が進むだろう。外資の採用に近い、JOB型(専門業務)通年採用が取り入れる方向性となっている。

◎SNSの時代、学生の1~2割が電話やメールの基本的なマナーが出来ていない。ハードルが高く、知らない、慣れていないだけなので、父母がしっかり示してほしい。

◎意思決定についての父母の影響力は63%と高く、父母は子に対し、社会人の先輩としてのアドバス、平等に判断できる材料を与え、子に判断させることが必要。過干渉にならず、サポーターとしての役割を担ってほしい。

 

「同志社大学の就職状況とキャリア支援について」 同志社大学キャリアセンター 山口 所長

◎経済学部の就職者率は、84.8%と他学部と比べて進学者が少ない。就職率は、98.9%と0.4ポイント増加 、全国では97.6%と調査開始以来2番目に高く好調。

◎業種別では、メーカー、金融、サービスが多い。金融の比率は一番高く、マスコミ・情報、サービスが増えた。

◎従業員規模別では、巨大企業、大企業Aについて文系平均より高く小企業に就職した者は減少した。

◎経済学部の採用企業は、全520社、うち複数名採用したのは100社。

◎Uターン就職は、4年平均22%と若干減少。地方公務員、教員、地元銀行等が多く、男女問わず地元志向が強くなっている。

◎職種別では、総合職が最も多く、次にSE・プログラマ、公務員行政職が多い。

◎大学の就活ルールとしては、就職問題懇談会申し合わせに従うこととなっており、この申し合わせは現在も生きている。

◎3年生の夏休みに約6割の同志社の学生がインターン参加しており、10月に事前準備、3月に会社説明会に参加しエントリー、筆記試験・面接を経て10月に内定式という基本スケジュールになっているが、実際には、5~6月が山場になる。

◎今の3年生は現行どおりのスケジュールとなり、2年生以下はまだ決まっていないが、当面、現行の日程どおりとなるのではないか。通年採用については、中途採用をキャリア採用という形で進んでいくのではないか。

◎3月のエントリーまでに、自己分析、業界・企業研究、筆記試験対策の事前準備が必要。

◎エントリー企業数については、文系では21~40社のエントリーが一番多く、実際にエントリーシートを提出した企業数は、11~20社が一番多くなっているが、男子に限ると10社までしか出ておらず、売り手市場で就職の状況が良いのか学生が回る企業数は減っている。

◎6月上旬までには内々定が出ており、内々定がなかなか取れない学生には個別相談、ブラッシュアップセミナー、合同説明会を実施し最後まで内定が取れるように支援している。

◎同志社のキャリア支援は、1週間以上就業体験ができるインターンプログラムをはじめ、セミナー開催、個別相談、グローバルキャリアフェア、Uターン支援、公務員講座、キャリア支援システム等のプログラムにより実施している。

◎キャリアセンターでは、「人一人は大切なり」という新島襄の言葉を胸に、学生が自ら考え、自ら決断できるよう、学生の考えを尊重しながら支援に努めている。

◎ご父母は、同志社大学の教育、実績、キャリア支援を信頼し、子供とコミュニケーションをとりながら、就職活動を温かく見守ってほしい。

 

トークセッション:「社会における経済学って?経済学部での学びは役に立つの?」

(ファシリテーター)谷村学部長

(登壇者)竹廣教授、マイナビ-丹下課長、あずさ監査法人-松山さん、京都信用金庫-赤澤さん、財務省近畿財務局-紺谷さん、NTTドコモ-小森さん

【竹廣教授 イントロダクション】

◎大学進学率が約5割へ高まり、大学に行かないと就職に不利になると考える方が増えてきた。

◎社会科学、自然科学、人文科学のどの分野で学んだかということが将来の仕事に関わってくる。

◎経済学は非実学と言われるが、社会のトップに立つ者には必須の実学であり、社会のしくみ、関わり合い、変化をどう捉え、自分の行動をどう考えるかという包括的な学びである。

◎意欲的に経済学に関心を持って入ってくる学生は多くはなく、「潰しが利くから」、「消去法的に」、「理系志望からの文転」といった理由で選択されている。このため、関心が定まりにくいが、論理的思考、数的思考が強いという特徴がある。

◎学部の学びでは、段階的・系統的履修を敷く中で、ゼミ等を通じて関心の高い分野を極め、主体性、協調性、論理性、発想力を磨くとともに、ディベート大会、学生プロジェクト、ビジネスアイデアコンテスト、海外インターンシップなど、やりたい学生が伸びていくような仕掛を作っている。

◎「リケジョ(理系女子)」に対し、谷村学部長が「エコジョ(エコノミクス女子)」を言い出している。

理系的発想と論理性を持つ「文系版のリケジョ」のような要素があり、社会での活躍が期待されている。

【谷村学部長】

◎「エコジョ」という言葉を叫んでいる背景は、「今、頼りになるのは女子」ということで、社会から男女の区別がない活躍が求められており、理系的、論理的思考など多面的能力が求められているからである。「エコジョ」に焦点を当て、女子に留まらず経済学部の学びを考えていきたい。

【外部からみた同志社大学の学生の特徴は?】

(丹下)学生の自主性を重んじるという教育方針が、学生にも根付き活かしていけるという特徴から、企業からの期待値も高い。

(谷村)社会が大きく変革する中で、その変革のリード役を同志社大学の学生に期待しているという話を聞く。

【経済を学んだことは役に立っているか?】

(松山)クライアントの経済状況を深く理解するには基礎的な知識が必要で、4年間の学びが今の仕事に活きている。

(赤澤)金融機関に勤めている関係上、顧客との会話に経済の基礎知識が役立っており、また、職務に必要な資格を取ることにも役立っている。

(紺谷)公務員試験科目の中の経済学の配点が大きく、一歩リードでき助かった。入省してからの企業訪問、分析、統計などの職務に関して、経済を学んで基盤ができていたので入っていきやすく、働きやすかった。

(小森)営業活動の中で、素早く質の高い情報にたどり着く能力が求められ、ゼミや授業で学んだことが大きく役に立った。

【今、これから、どんな力が社会から求められているか?】

(丹下)非常に変化が激しい社会の中で、変化に物おじせずに挑めることが求められている。AIがデータ処理は担うようになると思うが、気付く力、課題発見能力が求められている。

【就活の中で、大学での成果、授業、卒業研究を見る比率が高まっているのでは?】

(竹廣)大学で学ぶことがきちんと果たされているか関心を持たれている。外のことではなく、大学でどういうことが出来ているかということをアピールしてほしい。

(丹下)履修履歴面談を取り入れ、学生の本分の部分を見るトレンドがある。

(谷村)学生には、学びと自分の将来を結びつける発想をしてほしい。

【①現役の学生へ、②ご父母へ メッセージを!】
(小森)①同志社の卒業生が多数いるというメリットを活かし、OB訪問、インターンシップ、プロジェクト活動などへ積極的に参加してほしい。②大企業であれば良いというものではないので、自主性に任せて安心して見守ってほしい。

(紺谷)①40年間働くことをしっかり考え、仕事だけでなく職場環境などを見極めたうえで、自分に合う就職先を見つけてほしい。②過度に干渉しすぎず、温かく見守ってほしい。

(赤澤)①就活があるからこれをやるということではなく、自分が興味を持つことを授業、ゼミ、バイトでやれば自信が持て、面接でも響くものがある。②自分の両親も自分を見守り、味方についてくれた。

(松山)いろんなことにチャレンジ出来る同志社の風土と先生方の応援により、行動し実行できたことが今の自分につながっている。いろんなことにチャレンジしてほしい。②暖かく見守ってもらえば、就活だけでなく、その後の長い人生につながる。

(丹下)「何のためにやるか」という目的意識を持つ思考を日常的に身につける必要がある。33万人の卒業生がいるという強みを活かしてほしい。

(竹廣)広く浅くではなく、この分野だけは4年間勉強して何でも言えますと極められれば、それを中心に社会のことが拡がっていく。ここを頑張ってみようという観点で経済学を学んでいただき、そこに軸足を置いて、社会に飛び立ってほしい。

 

「人事から見た学生」 大和ハウス工業(株) 千原 人事部次長

◎同志社卒165名のうち、執行役員が3名、支店長が2名と活躍している。

◎長期にわたったキャリアを考え、自分のビジョンに沿った活躍の仕方ができるよう、しっかり考えてほしい。

◎業界選定にあたっては、一番きつい所、しんどい所を理解したうえで、自分がそれを乗り越えられるのかという判断が必要。

◎大和ハウスは、不景気に強く、新規事業開発力があり、広がりのあるキャリアを踏め、海外展開力のある会社。

◎したいこと、できること、すべきことの3点の組み合わせと、自分自身とマッチしているかどうかを見極めることが就職活動。

◎見聞を広め、思い立ったら行動に移す。人事(プロ)の言うことだけを鵜呑みにせず、現場を見る、現場で聞くことが重要。

◎自分の軸を見つけ、「何をしたい為に」という目的意識を持つことが重要。

◎会社の育成制度、福利厚生、定年制、働き方改革はどうなっているのかも見る必要がある。

◎社会からどう見られている会社なのかを見ておく必要がある。

◎選ばれる就職活動ではなく、選ぶ就職活動にしていただきたい。保護者はその後押しをお願いしたい。

 

【所 感】

 我が子も3年生となり、はや就職活動に突入という状況で、親として心配の種は尽きませんが、今回の説明会を通じて、就職活動の実態、大学での学びと就職の関係、大学のキャリア支援などについて良く理解することができ、今後、親としてやるべきことが大変良く見えてきました。

 また、先生方や事務方の皆様がこれまで作り上げてきた「同志社大学」の実績とブランドは、何物にも代え難い、社会(就職活動)における大きな強みであるということが良く理解でき、我が子が同志社大学の看板を背負って就職活動に臨めることを大変嬉しく、また、誇らしく思うことができました。

 なお、谷村学部長の「エコジョ(エコノミクス女子)」の話は、社会トレンドを巻き起すぐらいに盛り上げていければ大変おもしろいネタだと思いますので、今後、父母会でもぜひ何か仕掛けが検討できないかなと思います。

 最後に、説明会の開催と盛会にご尽力いただきました、ご登壇の皆様、先生方、事務局の皆様、そして父母会の皆様に心から感謝を申し上げ、レポートとさせていただきます。

 

 

九州支部長 冨田幸嗣

 

 

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