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千年の都「京都」を歩く -洛中- レポート

2017年3月9日

「大政奉還150周年にめぐる幕末歴史ウォーク・徳川将軍家の歴史舞台二条城と新選組ゆかりの壬生へ」

 

 早春という言葉がふさわしい、暖かい日差しにどこからか梅の香が薫る2月26日、恒例の京都観光が開催されました。今回のテーマは「大政奉還150周年にめぐる幕末歴史ウォーク・徳川将軍家の歴史舞台二条城と新選組ゆかりの壬生へ」です。

 

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 二条城は小学校の修学旅行で訪れ、鴬張りの床の音に感心した記憶があります。壬生は新選組ゆかりの地ということで、詳しいお話を楽しみにしていました。
 二条城前駅改札口で受け付けをして、50名弱の参加者で二条城に向かいます。道路から一段下がった、お城のほとりの川沿いの道を歩き到着。二条城は慶長8(1603)年、江戸幕府初代将軍徳川家康が、上洛の際の宿所、京都の治安警護、宮中や西国大名の監視などの目的で築城し、3代将軍徳川家光が増築を行い現在の形になったとのこと。そして、15代将軍徳川慶喜がここで大政奉還を行い、歴史が大きく動いた場所ということで、世界遺産にも指定されたそうです。美しく彩色された唐門をくぐり、二の丸御殿に上がります。この建物は国宝で、6棟が斜め一列に並ぶ「雁行形」と呼ばれる優美な建築です。大勢の観光客が廊下を歩くので、絶えず床からかわいらしい音がして、そうそうこの音だった!と懐かしい気持ちで拝観。小学生当時も古い障壁画に珍しさと美しさを感じましたが、今回はじっくりとそれぞれの部屋の意味と、それに合わせて描き分けられた絵を鑑賞することができました。障壁画はいずれも狩野派の名作で、彫刻や飾り金具を含めて、桃山時代の美術の粋を伝えるものでした。

 

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 二の丸御殿を出て、特別名勝の二の丸庭園を鑑賞しながら移動。庭園は小堀遠州の作とされ、二条城造営時に建築に合わせて作庭されたと考えられているそうです。神仙蓬莱を表現した書院造庭園で、二の丸御殿から見ても美しく、庭から建物を見ても調和がとれて美しい。歩きながらどちらを向いても、その説明のとおり将軍の威光を感じる立派なお庭でありながら、建物と庭が引き立てあうようなバランスのよい美しさを感じました。

 

 さまざまな種類の130本の梅が咲き競う梅林を通って、すぐ近くの神泉苑に向かいます。神泉苑は、平安京造営時に営まれた東西220m南北440mの広大な禁苑で、湧き出す清泉は涸れることがないと言われています。日照りが続いた際は庶民の立ち入りが許され、水が分け与えられたことから、人々が感謝と敬意を込めて「御池」と呼び、これが御池通の由来となったそうです。二条城造営のときに削減されたとはいえ、池の水面は周囲に茂った樹木の影を映し、天皇や貴族が船の上で詩歌管弦を楽しんだ雅な雰囲気を感じました。また、空海が日照りの際雨乞いの祈祷をして恵みの雨をもたらしたり、疫病が流行った際には疫病退散の祈祷が行われ奏功があったりと(祇園祭の発祥となる)、宗教的な霊場として厚く崇められているそうです。

 

 程よく足も疲れお腹もすいた頃で、神泉苑の風雅なお庭を眺めながら料亭「神泉苑平八」で昼食をいただきました。京料理は薄味ながら滋味があり、鴨鍋では野菜にもよいお出汁が沁みていました。最後は祇園ぜんざいのデザートで、あっさりとした甘みに癒されました。
 午後は近くの武信稲荷神社から回りました。神社は貞観元(859)年、右大臣藤原良相(よしすけ)が創祀したもので、医療施設の延命院と学問所の勧学院の守護神が祀られています。後世藤原武信(たけのぶ)が厚く信仰して、その名前が冠されました。江戸時代には、坂本龍馬と恋人おりょうの逸話が生まれました。当時近くに六角獄舎(監獄)があり、おりょうの父が勤王の医師であったために、捕らえられていました。先に様子を見に来た龍馬が、後に訪ねて来るであろうおりょうに自分の無事を伝えるために、神社のエノキに「龍」の文字を彫ったそうです。今は文字はありませんが、幹は太く枝は大きく広がり、当時を偲ばせてくれました。
 神社の向かいにあった六角獄舎はなく、現在はマンションが建っています。一角には石碑があり、六角獄舎があったことと、処刑者が腑分け(解剖)され医学の発展に寄与したことが記されていました。

 

 家々の間の小道を歩いて、壬生寺に行きました。壬生寺は正暦2(991)年、三井寺の僧快賢が創建し、中興の祖円覚上人が、悪疫退散のために「壬生狂言」を始めました。
 幕末には、新選組が京都で最初の屯所を構え、境内で武芸や大砲の練習に励んだそうです。沖田総司が近くの子どもたちを集め、鬼ごっこをしたという、ほほえましいエピソードもあるそうです。また律宗の寺なので、唐招提寺の鑑真和上の像の座像が、本堂に安置されていました。今回は、京の冬の旅特別公開として、普段は入ることができない壬生狂言が行われる建物の中も見せていただきました。1階は道具や面、衣装を収納する部屋、2階は狂言が行われる舞台です。舞台は飛び降りの場所などもあり、演技の工夫と、700年続く狂言の歴史を感じました。

 

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 立ち入っての拝観見学はしていませんが、途中光縁寺(新選組副組長山南敬助と住職良誉上人の縁により、新選組の菩提寺)、八木邸(新選組の屯所で近藤勇、沖田総司ら13名が滞在した。文久3年4人が奥座敷で斬殺され、今も刀傷が残る)などの外観を見て歩きました。午後3時半ごろ、壬生寺で解散して、本日の観光を終えました。
 お天気にも恵まれ、春の訪れを感じながらの有意義で楽しい一日でした。京都には数え切れないほどの見どころがあり、いつどこを訪れても感動と発見があると思います。しかし、このように丁寧かつポイントを押さえて、プラスαの見どころまで伝えてくださるガイドがあること。観光をしながら、同窓に我が子を学ばせる父母だからこそ分かち合える、共通の楽しみや子どもに寄せる思いを共有できる場でもあること。これらは、父母会の旅行でしか得られない貴重なことだと思います。この素晴らしい旅に関わってくださる学内外のたくさんの方々に心より御礼申し上げます。
 旅の主人公はご父母の皆様お一人お一人でもあると思います。ぜひ次回も大勢の皆様にご参加いただき、私たち自身の旅をご一緒につくってまいりましょう!

 

 

岡山支部長  藤原康子

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