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春の就職説明会レポート

2018年7月19日

 2018年5月12日経済学部父母会では沢山のご父母の方がご来場になりました。学部長はじめ専門の方がお見えになり、大変充実した講演になったと思います。以下に講演の概要を示しますので、ご覧くださいますようお願いいたします。

 

●経済学部長・経済学部教授 谷村 智輝教授

会の開催にあたりまして経済学部長である谷村教授より以下のお言葉を頂戴いたしました。

 

父母会の機能は主に3つあります。

第一が同志社大学の経済学部を知っていただくこと、

第二が学生の現状を知っていただくこと、

第三にご父母の皆様が直面している悩みや課題をご父母の皆様が共有してできること、

解決に導くことの知識や情報を得ていただくということです。

就職活動には様々な言説が飛び交っており、常識、非常識が混在をしております。

是非今日の機会を利用していただいて、そうした神話を、内実がどこにあるのか?本当に大切なものは何なのか?

情報を共有してご家庭に持ち帰っていただいて今日の色々な知見を学生に還元していただければと思います。

 

●講演では就職の専門の企業の方、当校キャリアセンターより就職についてのご説明をお伺いしました。

 

講演1 「適正検査SPI~概要と開発背景~」

     講演者:株式会社リクルートマネージメントソリューションズ 福田 隆郎氏

 

SPI(Synthetic Personality Inventory)とは「総合適性検査」と称し、株式会社リクルートマネージメントソリューションズが提供している適正検査の一つです。

主に人材の採用活動で利用されている理解力、思考力、などの基本的な能力と性格特徴を測るものです。

欧米では「何ができるか?」に焦点が当たりますが、日本では、「どんな人?」で「どんな可能性をもっているのか?」というところに焦点があたります。

かつて、学歴、縁故による採用をしていた企業がある程度自由応募に近づき、そのグループに対して「見極め」の要請があり、それに対応してできました。

1974年に提供を開始し、その後SPI2、SPI3と発展してきており、最新のテスト理論や心理測定技術に基づいて科学的な検証に基づいております。

 

講演2 「同志社大学の就職状況とキャリア支援について」

     講演者:同志社大学キャリアセンター所長 山口 晃司氏

 

本日の話の内容は大きく分けて3つあります。

1点目は同志社大学の就職状況です。 

2点目は就職活動の基礎知識です。 

3点目は同志社大学のキャリア支援です。 

大学・キャリアセンターはどういったプログラム支援を行っているのかということです。

就職スケジュールについては、日本経済団体連合会の出している「採用選考に関する指針」と文部科学省の「就職問題懇談会の申し合わせ」に沿って行われています。

こういったことを踏まえて、事前準備はどうするか?自己分析、企業研究、業界研究、筆記試験対策などの準備が必要と思われます。

自己分析は自分の過去を振り返り、自分の友人家族に聞くことも必要です。本人の長所、短所、強み。

企業研究で調べた結果を自己分析と照らし合わせ、入社後どういったことができるのか?などをイメージし、仕事を通じて何を成し遂げたいか?などエントリーシートを作成する元とすることが重要です。

経済産業省が2006年にまとめた資料によると、社会人として必要な3つの能力

1「前に踏み出す力(アクション)」、

2「考え抜く力(シンキング)」

3「チームで働く力(チームワーク)」

を挙げております。これらは4年間の学生生活の中で総合的に養われて行くものと考えております。

 

●トークセッションとして、企業側、学校側、学生側の観点より就職活動について意見を交わしました。

 

「トークセッション~企業・教員・学生から見た2018年就職活動~」

   講演者:

    企業側:トヨタコネクティッド株式会社 人事総務部人事室採用GM 山田 さおり氏

    大学側:ゼミ指導教員 新関 三希代教授

    学生側:経済学部4年次生 奥田 佳緒莉さん、李さん

 

  新関教授:どのような就職活動をしていましたか?先ず、いつ頃から始めましたか?

  奥田さん:2回生の3月から始めました。

  李さん :3回生の11月から始めました。

  新関教授:何となく李君は少し遅いかも?それが普通ですかね?奥田さんは少し早すぎるなぁと感じるのですが。

  奥田さん:留学に行った際、海外の就職活動に行った時、会社の事を分かって行っている。その為、離職率も低い。一方日本では大手に行けば「勝ち組」みたいな状況になっていて、自分では納得できるのかわからないと考え、今まで20年しか生きていないのに40年働くかもしれない会社を4ヶ月間で決めるのは無理だなと思い、それならば、ゆっくり時間をかけてたくさんの人に会ってと思い就活を始めました。

  李さん:日本企業は就職活動をする情報開示をするのが3月である為、私はそれをめがけて11月頃から準備しておけばそれで充分ではないかと考えた為。実際蓋を開けてみると、夏休みだったり、冬の期間にインターンというものが開催されまして、そういったところに積極的に参加できた学生の方が選考でも有利な待遇を受けるということが情報としてありました。(11月に)始めた時期というのはそんなに遅くは無かったと思いますが、私自身が外資系企業を希望していたので、3回生の7月8月に選考が始まっているので、そういった意味では少し遅れたという印象があります。

  新関教授:李君は外資の超有名なところを内定となって非常に狭き門を突破されている学生の一人ですけど、そういったところというのはインターン重視というのが私のイメージです。狭き門、外資でなくても、インターンに行く人が凄く多いです。特に3年生の夏と3年生に上がった途端の春に「インターンに行くのでゼミに出られません」と言う学生がここ1~2年、特に今年多いなぁと言うイメージです。奥田さん自身はインターンに行ったかどうか?周りの学生さんはどうであったか?ちょっと教えて下さい。

  奥田さん:私はインターンを夏も冬も大体5社ずつぐらい計10社ぐらい行きました。周りは夏には行っていなくて、冬にちらほら行っている学生もいたり、私よりも多くの企業に行っている人もいて、結構色々でしたが、ただ行くのではなくて、目的をもって行かないとあまり意味はないなと感じました。

  李さん :私はインターンは1社か2社ぐらいしか行っていなくて、それも夏に製薬会社のインターンに参加して、あまりインターンでも具体的な事業内容であったり、企業文化であったり、表面上でしかわからないというのがありまして、本当に自分でやりたいこと、将来成し遂げたいこと、夢みたいなものを探すのはOB、OGに会うのが一番いいと思い、3回生の7月8月で数名お会いさせていただきました。その経験を通して自分が将来こういった人になりたい、こういった仕事をしてみたいというのをイメージして企業を選んでいきました。

  新関教授:インターンには2種類あると思われます。インターンに面接試験というものがあります。インターンの試験が難しいというインターンと数うちゃあたるインターンがあります。そういったインターンは夏に落とされても冬にまたあるので、それで合格というものがあります。採用につながるかどうかというのは後で話していただこうと思いますが、2~3日企業体験とかは、こんな企業ですよみたいな紹介のような気がします。実際選考が難しいインターンは何となく採用につながっているとか、それが本試験のように面接をしているのではと思います。

  山田さん:夏と冬でインターンシップを行っている。インターンシップで採用ということは考えておりません。私達が提供しているサービスがけっこう機密が多い為一般には公開しにくいもので、インターンシップで来ていただいている学生の中から興味がある人を探すために行っている。以前技術者を2週間ぐらい開発してもらうというインターンシップを行ったがその時は採りにいっている。

  新関教授:何を軸に就職活動しましたか?またそれをなぜ選んだのですか?
  奥田さん:軸は業界で、海外の大学に通っている時7ケ月程インターンシップを行っていて、日本人は危機感が無いと感じ、この危機感を軸に活動していました。

  李さん :専門性と成長できる環境を軸にしていました。自分だけの専門性を持ちたいと思うこととハイプレッシャーな環境です。

  新関教授:それでは自己分析はいつ頃、どのように行いましたか?就職活動で自己分析が必要なのか?という点を踏まえてお願いします。

  奥田さん:私は自己分析は必要だと思います。

  李さん :自分の弱み、強み、第三者からの評価という客観的な視線というものを大切にしたいと思います。

  新関教授:最初からうまくいきましたか?

  奥田さん:15社ぐらい受けていて最終面接まで行ったのが2社ありました。しかし2社とも落ちました。それは、相手の会社に合わせ過ぎて自分を全て作っていて、何をやりたいと聞かれても、その会社にあるものを発展させていきたいとか、そういう話しかできなかった。

  李さん :当たり前なことを当たり前にできなかった。実際に受けた会社は3社ぐらいでしたが、企業にエントリーする場合、文書に慣れていなくて書類選考で落ちてしまいました。SPIでほぼ満点をとらなければならないところ、自分でないがしろにしていました。

  新関教授:就職活動において、語学力は必要ですか?

  奥田さん:語学力は会社によるが、インターン等で語学力がないと採ってくれない企業も少しはある。語学は「会社に入ってから、入る前につければいい」という会社も沢山ある。一生懸命やれることをPRすれば、語学力もきちんとつけると思ってもらえる為、特に語学力は必要ない。

  李さん :外資系では必要に思えるが、入社後にこの人は語学力もつけてくれるだろうと思われるところもあるので、入社時点で語学のハイスコアーが求められるかといえば必ずしもそうではない。

  新関教授:他の取得、例えば簿記をとっておいていた方がいいとかはありますか?金融系、商社とかどうですか?

  李さん :私の選考が「ファイナンス企業分析」というものでしたが、それを面接官の方にお話しすると、全体的な財務の知識とかを聞かれますので押さえた方がいい。簿記3級、できれば2級取っているとプラスアルファーで話ができるという印象があります。

  新関教授:具体的な流れ、何回ぐらい企業から呼ばれるか?そのへんをお話しいただけますか?メーカーとか具体的業種を踏まえていかがですか?

  奥田さん:私はインターン選考が多かったのでそのことをお話しします。冬にインターンに行きますと12月頃WEBテスト、書類選考をして、グループディスカッションがあり、その後個人面接、集団面接となります。私は落ちてしまいましたが、一番多いところで6回ありました。6回目は最終面接で、だいたいは役員面接でした。1対3、1対4ぐらいで面接をします。集団面接が1次面接の場合はあまり自分が話す機会がないので「明るさ」「性格」等を短時間でアピールできるかが勝負だと思っています。

  李さん :外資系2社を受けましたが、3月までに内定の8割が出ます。就職活動解禁の時、ほぼ内定をもらっているという状態です。選考フローとしては、書類を出してテストを受けて面接を受けて、特殊な選考があります。インターンが選考のプロセスに入っていて4日間、5日間の間にグループワークを行って、グループワークの質の高い方を内定という形で採っていました。総合商社に関しましては、3月解禁された後に説明会が2~3回程ありまして、たくさんの学生が応募するので、抽選制となっておりました。1万の中から500人ぐらいの率で、この面では「運」もあるのかな?と思いました。そこから、経団連に入っている企業は6月に面接を行って、3回面接して、内定という運びです。

  新関教授:教員から見た印象を言います。基本的に、一生懸命行っている学生が優位だと思います。「教員が授業に出なさい。」とかという意味で言っているのでは無く、20年位学生を見ていましたら、インターンであったり、留学に行ったりをしていましたら、面接で話す内容が非常に長くなります。説得力がでる為、有利だと思います。しかし、いかに頭を使って自分の言葉で喋れるか?というのが大切。そういう学生は強みがあります。自信をもって話せるようになっているので、就職活動も上手くいっている。面接は短時間なので、この人「嘘を言っていないか?」「本当にうちの会社で働きたいのか?」「うちの社員と働く気があるのか?」「働いて儲けることができるのか?」・・・などを企業さんは見ていると思います。そうしたことから、大学時代充実した学生生活を送って、そういう内容を話せる学生が上手くいっている気がします。

  山田さん:奥田さんが言っていました。「私が考える〇〇」とかそういう発言ができる方というのは重視しております。一般的な話を企業は期待していなくて、その人がどういう経験を積んできて、そこから何を得て、どういう風に次に活かしていくのか?ということが聞きたい。なぜ、それを聞きたいかというと、入社していただいた後、新しいものを作ったり、お客様に価値を提供していく時に、これまで得た経験からどのようにするのかを面接時にいかに話せるか?ということは結構大事です。私どもでは、最終面接官が特に学校で勉強しているのかについて気にします。うちの場合は特にです。なぜその学校を選んだのか?なぜそのゼミを選んだのか?そこで何を研究しているのか?・・・それは、学校での勉強ができる学生さんというのは仕事でもできると考えるからです。このインターンシップに行って自分は何をやっていこうとか、目的を持っていただくことが大事です。いい経験も悪い経験もそこから次に活かせる。そういうところが大事だと思います。

  新関教授:業界毎の特殊性というのはありますか?共通項として人を見る目というのは一緒なのか?

  山田さん:基本はたぶん一緒です。そのベースの上にその人のしたいことは異なっていると思います。メーカーはきっちりやっていただける方が求められる傾向があり、私達みたいなイノベーティブな会社ですとどんどん興味があって固定概念にとらわれずやっていく方、外資ではへこたれない人、相手に打ち勝って自分でステイタスを作っていく人を重視すると思います。同じ業界でも会社によって違うのでそこは見極めていただいた方が良いと思います。はきはき喋れることが重要ではありませんが、はきはき喋らないと面接に通らないと思いますので、そこだけはトレーニングしていただいた方が良いと思います。

  山田さん:以上のところどうですか奥田さん

  奥田さん:(はきはき喋ることに関して)もともと声は大きいですが、「おはようございます。」「ありがとうございました。」というような自分の言葉を言った時点から「面接始まるぞ」「面接終わるぞ」といった切り替えに使って気合を入れていました。

李さん :私は「志望度が低い」と言われたことがあったのですが、その時は表情かな?と思っていましたが、はきはき喋った時は結果もついてきたので、本当に(はきはき喋ると良いというのは)その通りだと思います。

  新関教授:喋るのは対相手で(決まる)と言うことですから、相手が「気持ちいいな。」「一緒に働きたいな。」と思わせることは重要です。(表情としての)笑顔も大事ですし、はきはき喋ること、ある程度のマナーというのも大事だと思います。それよりも大事なのは志望動機であるとか自己分析のもと自分の言葉で喋れるかが大事です。

  山田さん:本当にそうです。ちょっとくらい不器用でも自分の言葉で喋れる方が印象はいいです。

  新関教授:この二人はたまたま上手くいった例ですが、これだけ売り手市場と言われている中で、何社受けても落ち続ける学生がいます。そういった場合は業種を変える、自分の思っている業界、会社を変えると内定が取れる場合があります。こういった内定が取れない学生さんへのアドバイスはどうですか?山田さん

  山田さん:そうですね。「自分がここを目指したい」というのは結構偏っている場合があります。自分の方向性が狭いと受かる確率が狭くなりますので、その方向性を広げてあげるというのが大事だと思います。

  新関教授:最後にご父母の方に言いたいことをお聞きしたいと思います。私自身は「交通費」です。結構交通費がかかるので交通費を出してあげてください。またお子さんの意見を聞いてもらいたいと思います。

  奥田さん:ほぼ(新関教授の言ったこと)と同じですが、1社でも落ちたら相当落ち込むので、(就職の話への干渉は)しないけど、しんどい時は聞いてくれる。という感じが一番良くて感謝しています。(就活の場合)東京への交通費は結構かかるので、よろしくお願いいたします。

  李さん :先輩に言われたのですが、「就社活動ではなくて、就職活動をしろ」と言われました。「夢企業」に入ることがゴールでは無くて、そこに入って成し遂げたいこと、やりたいことを明確化していけと言われました。自分が内定をいただいた時に、どうしようと思った時に「本当にやりたいこと」「将来の夢」と照らし合わせた方が気が楽だと思います。あと、関東の学生さんは就職活動に敏感です。大学1回生の頃からアルバイトを通じて経験を積んでいるケースが多く、その中で、東京へ週3回も就活に行くというのはコストもかかりますので、結構不利な状況と思います。授業に出席していなかったり、だらりとしている学生が居たら怒ってください。

  山田さん:お金がかからない方法では、スカウトのサイトというのがあります。そういうものを使っていただけたらと思います。また「就企業」ではなくて「就職」だと思いますので、長い目で見てチャレンジして行って欲しいと思います。

 

 ご参加いただきました、専門の方、お集りいただいたご父母の方には貴重なお時間をとっていただきましたが、とても内容の濃いものとなりました。次回は秋の開催となりますが、引き続きのご参加をよろしくお願いいたします。

 

副会長 二宮 伴夫

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